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NO-NAMEの隠れ家

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大黒摩季

大黒摩季って…!?



レビュー掲載作品

『STOP MOTION』
『BEST OF BEST ~All Singles Collection~』



作品レビュー

1stアルバム (ミニアルバム)
『STOP MOTION』
(1994.2.2)



1.あいつにSAY ★★☆
2.STOP MOTION (album version) ★★☆
3.That’s イケイケ宣言!! ★★★
4.Time & Time ~時の女神~ ★★★★☆
5.風に吹かれて ★★★☆
6.ふたり ★★★
7.STAY ★★★

総合 ★★★

大黒摩季の1stアルバム。ジャケットはボクシングです…。何故!?(笑)。
冒頭の『あいつにSAY』から、「あいつはしたいだけ」・「殴る価値もない男なのに」と、彼女らしい攻撃的な歌詞が耳に入ってきます。間奏明けには「FUC×IN’ BABY」と、放送禁止用語も飛び出す!!(汗)。彼女のパワフルなヴォーカルも、既に形になっています。絡みつくようなサビや全体の印象は『別れましょう私から消えましょうあなたから』の原型といったところ。最後はガラスの割れる音で、次曲へ。
デビューシングルとなった『STOP MOTION』も、彼女のその後の楽曲を考えると、当然に納得がいくダンスナンバー。ここでも「殺(い)かせてほしい」・「Please kill me」と、歌詞が大胆。
なるほど、その後の「大黒摩季」は、1stからの正統な流れなんだな、と冒頭2曲で確認。…ところがどっこい。3曲目以降がすごい。
まず、『That’s イケイケ宣言!!』。さすがにタイトルは今では使えたもんじゃないですが、楽曲そのものは、現在でもポップスとして通用するんじゃないかと思えるから面白い。ちょっとアレンジしてmihimaru GTなんかが歌ったら合うんじゃないでしょうか。「GO! GO!」というパーティー的なコーラスも、ハロプロあたりを思わせるし。
続く『Time & Time ~時の女神~』では、何故かワールドミュージックに足を踏み入れて、ますます方向性はナゾに。しかしこれ、とても良いです。プログレ的な雄大なバラードに仕上がっていて、彼女の歌唱もサウンドに負けない壮大なものがあります。このスケールの大きさには驚き。隠れた名曲でしょう。今作の白眉。
続く『風に吹かれて』は、今度はAOR。そして、ピアノ・バラードの『ふたり』。両曲とも、彼女の歌唱力の高さが分かりますね。力が入ったときが下品スレスレなのを除いては、気にかかるところがありませんでした。上手いです。『ふたり』は、テレビやラジオ等の媒体で何気なく流したとしたら、単に歌謡曲としても、そしてしっとり聴かせるBGMとしても幅広くアピール出来そうな、そんな魅力をもった一曲ですね。ラストの『STAY』は、R&B・ブラックミュージックの要素を取り入れたダンスチューン。
このように、楽曲はバラエティ豊か。彼女に合うものを探して幅広く色んな曲をやってみたという感じですが、そのどれもを歌いこなしてしまう彼女の抜群の歌唱力が凄いです。
ボクシング姿のジャケットで敬遠していましたが、意外な好盤。
(記:2007.9.3)










ベストアルバム
『BEST OF BEST ~All Singles Collection~
(1999.12.31)



彼女の30歳の誕生日に発売された自身2枚目のベストアルバム。彼女はこの後にBeingを離脱、結果として今作はBeing時代を総括するベスト盤となりました。非公認含め、ベストアルバムはいくつも出ていますが、大黒摩季に興味を持ったのであれば今作を手に取るが一番分かりやすいと思います。なんてったって、Being在籍時のシングル楽曲の全てが収録されていますからね。一気に聴けます。これ以前のベスト盤『BACK BEATs #1』は、大ヒットしたために中古に安価で数多く出回っていますが、中期以降のヒット曲である『熱くなれ』等の楽曲が収録されていないというネックがありますからね。まぁ、お好みで。
振り返ってみると、やはり、彼女が放ったインパクトは強烈なものがありましたね。その(歌声を含めた)サウンド、歌詞…。1曲1曲を振り返っていくと、彼女の功績があらためて分かります。'90年代前半のJ-POPに彼女はひとつのレールを敷いたんじゃないかと思いますね。

DISC 1

1.STOP MOTION ★★★

デビューシングル。最高位67位、売上1.9万枚とヒットとはいかず。楽曲のほうも、『DA・KA・RA』や『チョット』と比べるとさすがにインパクトが薄いです。しかしながら、彼女のハイトーンボイスはしっかりと存在感を示しているし、歌謡曲+ロックサウンドというのも、その後の方向性を考えると極めて真っ当な出自。大黒摩季の歴史はここから始まりました。(この頃は「大黒摩紀」だったけど。)

2.DA・KA・RA ★★★★

2ndシングル。のっけから強烈なオケヒット、インパクト大の「愛、だ・か・ら、できない」というサビのフレーズ。うーむ、こうやって歌詞を文字にしてしまうとなんだか逆に弱々しい印象になってしまいますが、とにかく耳にした瞬間の衝撃度は抜群。パンチ力ある歌唱と、女性のホンネを吐き出す歌詞とで、早くも大黒摩季の個性を確立したナンバー。一気にミリオン超えの105万枚を売り上げました。

3.チョット ★★★★

『DA・KA・RA』でのパンチの強さはそのままに、更にラテン風味を加えたような3rdシングル。ハイトーンボイスの歌唱は更に激しさを増し、溜まった鬱憤・不満を吐き出すような強烈なシャウトが炸裂しています。途中に入る語りも印象的。「ありがとうなんて絶対言わない!!」なんていうフレーズには聴いているこちらに寒気が。

4.別れましょう私から消えましょうあなたから ★★★☆

当時のBeingの長いタイトルブームを象徴するような4thシングル。長いフレーズを畳み掛けるサビが特徴的です。サックス、キーボード、ウィスパー風のコーラスで、どこかホロリとさせるアレンジを施しています。一方的に感情をぶつけるのではなく、どこか客観的な視点が入った歌詞も新鮮。「燃え上がる愛しさほど 焼け跡は悲惨で」っていうフレーズがすげぇなぁ。

5.Harlem Night ★★★

5thシングル。ここで一度、自己の不満爆発路線から離れ、周囲を鼓舞するという歌詞の内容に。サウンドのほうも、おおまかに2種類のメロディーが繰り返されるだけという異色の作品です。単純な展開の分、彼女の歌いまわしで引っ張っているタイプのナンバーですね。

6.あなただけ見つめてる ★★★☆

彼女にとって2作目のミリオンヒットとなった6thシングル。アニメ『SLUM DANK』のテーマ曲としても有名です。やはりいつもの彼女の例に漏れず、インパクト重視のサビが特徴的。敢えて古めかしくしているのであろうアレンジとミックスも、この曲の特長に転じていると言ってもいいかも。歌詞がまた凄い。徹底的に男に尽くす女心がこれでもかと歌われます。どこまでも離さずについてくるスッポンのようなしぶとさに冷や汗が…。「あなただけ見つめてる そして他に誰もいなくなった」というフレーズが怖いです。終盤のサビの繰り返しでの「目指せっっ!! Love Power~、オ・ォ・ォ・ォ」という部分は巧いっすね。ラストの「行けっっ!! 夢見る 夢無し女!!」というシャウトも強烈。

7.白いGradation ★★★★

これまでの彼女のイメージをガラッと覆すリゾート・ソング。メロディーラインもいいし、アレージもムード感に溢れ、これはこれで良作です。彼女らしくないというマイナス面よりも、彼女の幅を広げたというプラス面の評価が出来るのではないでしょうか。スキー場でかかっていると非常にハマりそう。『シーズン・イン・ザ・サン』と対になり得る曲ですね(笑)。7thシングル。

8.夏が来る ★★★★

8thシングル。女のホンネ路線に戻り、今作では結婚への焦りや苛立ちが、ラテンサウンドの上で歌われます。歌詞は全てを引用したいほどキレキレ。「価値観・将来・etc…を話し込んだならイイ友達にされそう 愛してる…なんて本気でHしたら その日から都合のいい娼婦(おんな)扱い マジメなだけなのに」なんていうストレートな一節は、なかなかそれまでのJ-POPのフィールドには出てこなかったであろうフレーズで、彼女が音楽シーンに与えた影響の一端が分かるんじゃないでしょうかね。俺も女だったら、これ、カラオケで歌いたいわ。それまでの歌謡ロックとラテンアレンジをミックスさせたサウンドの完成度も高いです。この路線では、詞・曲含め、今作が最高傑作でしょう。

9.永遠の夢に向かって ★★★

9thシングル。よく聴いてみりゃ(よく聴かなくてもわかる?)、これ、『SMOKE ON THE WATER』じゃないですか(笑)。あの「ドゥッ、ドゥッ、ドゥ~、ドゥッ、ドゥッ、ドゥドゥ~♪」っていうギターリフが、そのまま「永遠の~、夢に向かって~♪」というサビのメロディーになっているというね、いいんでしょうか(笑)。そんな強引な裏技を用いたこの曲。歌詞のほうは、恋、仕事、人間関係など、悩める全ての人々に贈る応援歌になっています。既にミリオンヒットが2作もあるので意外ですが、実はこの曲が初のオリコン1位シングル。

10.ら・ら・ら ★★★★★

10thシングル。初めてフォーキーなバンドサウンドの楽曲に挑戦し、彼女にとって3作目のミリオン、133.9万枚を売り上げ最大のヒットとなった代表曲です。これだけ売っても、年間チャートでは17位でしたが。さすが1995年。まぁ、それは置いといて(笑)。
大陸的で風通しのいいバンドサウンドはとても心地良く、「ら・ら・ら~♪」というサビも親しみやすいですね。これは、Beingの長戸大幸総帥の「みんなで歌えるような曲にしよう」というアイデアだとか。中盤に一度だけ登場する「年月(とき)が経つのはナゼ こんなに早いのだろう」というメロディーが、この曲を単調にせずに良い味を出していますね。普通はこうした部分はラスサビ前に置くのでしょうが、敢えて中盤に置いているのも構成の妙ですね。

11.夢の続き ★★★

このアルバム用の新曲。東洋的なアレンジを施した静かなバラード。特には…(笑)。

bonus track

12.FIRE (Live Version) ★★★

ここから2曲、ボーナストラックとしてライブ音源が収録されています。この曲は、5thアルバム『LA. LA. LA』に収録されていたナンバー。重低音の響くハードな演奏になっています。観客との掛け合いもライブならではですね。この曲を聴くたびに思うんだけど「そんなことより あなたがくれたー♪」の部分は、後にZYYG『SERIOUS』で焼き直しされていますね。偶然の一致とは思えません(笑)。

13.I can’t stop the rain (Live Version) ★★★

8thアルバム『MOTHER EARTH』収録曲。うーむ、『夢の続き』もそうだけど、こういう淡々としたバラードは、あまり彼女が歌っても惹かれないなぁ…。

DISC 2

1.いちばん近くにいてね ★★★

11thシングル。弾けるようなサンバの「ギラギラの太陽と ピチピチのON THE BEACH~♪」部と、めずらしく(?)男性に対してストレートに弱さを見せる「いちばん近くにいてね~♪」部の2種類のサビをもつ楽曲です。「前の人 一緒にいすぎて 愛が生活に負けたから…」というフレーズがリアリティがありますね。

2.愛してます ★★★

12thシングル。冒頭を始め所々にややロックテイストのアレンジが施されてはありますが、全体を通してみれば当たり障りないミディアムナンバーです。歌詞のほうに目を移しても、「愛してます」というストレート極まりないメッセージが、どうも以前のようなインパクトとキレを感じさせません。個人的には、いまひとつ彼女らしさを感じられない楽曲。

3.あぁ ★★★

13thシングルは、またしてもミディアムナンバー。どうしたの、守りに入っちゃったの?という印象もなきにしもあらずですが、「あぁ 諦めないで 前だけ向いて歩いてみよう」という温かいメッセージが、彼女の力強い歌声とともに背中を押してくれる応援歌となっていて、結構ジ~ンとくるものがありますね。メロデイーも良いです。大黒摩季版『負けないで』。

4.熱くなれ ★★★☆

彼女の最後の大型ヒットとなった14thシングル。パワフルなイントロが、『DA・KA・RA』を彷彿とさせれば、間奏では『チョット』以来の語りが登場と、過去の彼女のヒット曲を思わせるスピード感のあるロックナンバー。歌唱もパンチが効いています。躍動感溢れるホーンアレンジがいい。一方では余計な音を削ぎ落としたようなシンプルな印象もあり、ただの焼き直しではない1996年の音になっています。NHKアトランタ五輪テーマソング。オリコンチャートでは、2位→6位→2位→1位という粘り強い動きを見せました。

5.アンバランス ★★★☆

15thシングル。セールス的には『愛してます』・『あぁ』で一度落ちかけた数字を、『熱くなれ』が83.4万枚と引き戻したのですが、再びこの曲がデビュー曲以来の低セールスとなる32.1万枚とコケてしまい、ここから売上は下がる一方となってしまいます。しかし、楽曲のほうは僕は高く評価しています。ゴリゴリのAメロからBメロを経てキレのあるサビへの移行もごく自然だし、ダンスナンバーとしての要素と、歌謡曲の要素、ロックの要素が適度に混ざり合っています。ある意味で、彼女のひとつの到達点のような楽曲ではないでしょうか。

6.ゲンキダシテ ★★★

16thシングル。これまでで最重量級のサウンドで奏でられるミディアムロックナンバー。「ゲンキダシテ」・「キアイイレテ」というサビのフレーズは一見安直ではないかと思えるくらいの直球勝負ですが、演奏・歌唱含めて「これでいいのだ」というような力強さがあります。『熱くなれ』~『アンバランス』~今作という流れで、彼女はこの先ロック方面に突き進むかと思ったんですけどね。2ヶ月後に出た次回作では、また違った顔を見せました。

7.空 ★★★

極めてフツーなポップソング。あれれ…ちょっと肩透かしというか、なんというか(笑)。これまでのシングルで、ここまで清涼感溢れたポップスというのはなかったですね。敢えてやってみると新鮮、ということでしょうか。’90年代前半~中盤のBeingブームを共に支えてきたZARDと、ちょっと立場を交換してみようかということだったりして(笑)。17thシングル。

8.ネッ! ~女、情熱~ ★★★

前作から9ヶ月ぶりとなった18thシングル。このあたりから彼女の作風も二転三転して、ハタ目にも迷走してるなということが分かってきます。Beingブームの衰退、それと入れ替わるかのように、時代は小室ファミリー全盛。「大黒摩季」として、どのように売っていくか、悩んだんでしょうねぇ。彼女らしいインパクト重視のタイトルのわりには、曲はサラッと流れていってしまいます。「どこまでいってもワタシって ネッ! 女、情熱…」というフレーズからは、決意めいたものよりも、どこか痛々しさが漂うなぁ…う~ん。

9.太陽の国へ行こうよ すぐに ~空飛ぶ夢に乗って~ ★★★

前作から丸1年ぶりの19thシングル。DEEN・ZARDらのセールス衰退、そして小松未歩らの台頭と、Being内でも時代は移り変わりを見せていました。そして、彼女の楽曲にも、新人作家が名を連ねるようになりました。事の真相はどうあれ、これまでは「作詞・作曲 大黒摩季」で通してきたわけですが、今作のクレジットは「作曲 大野愛果」。 実際に曲を聴いてみても、いかにも大野メロディーですね。別にGIZAの誰かが歌ってても全く問題なさそう。大黒摩季である必然性を感じさせません。色々な方法を試していたんでしょうけどねぇ。

10.夢なら醒めてよ ★★★

Beingでの最後のリリースとなった20thシングル。ラテンです。曲全体から感じられる新鮮さは、ベテランではなく新人アーティストのよう。瑞々しいんです。歌詞のほうは、最後まで変わらず女の不満や苛立ちなんですね。それについては賛否両論だと思いますが、とりあえず全盛期よりも言葉のインパクトが薄れてきたのは事実だと思いますね。聴いていても、「もう~イッちゃう」という部分だけがやたら耳に残ります(汗)。

11.BRAND-NEW DAY ★★

DISC 1の『夢の続き』と同様に、このアルバム用の新曲。ジャケット裏に記載されている収録曲一覧や歌詞カードにもこの曲に関する情報は掲載されておらず、シークレットトラック扱い。…と思ったのですが、どうやら、本当に急遽収録が決まったため、そのあたりをいじくっている暇がなかったというのが真相のようです。発売時にケースを包むビニールにシールを貼って対処したんだとか。曲のほうは、正直いまひとつですねぇ…。なんだかベタベタしたリズムが完全にGIZA studioに侵食されている感じで好きになれないです。

bonus track

12.チョット (Live Version) ★★★

DISC 1と同様に、ボーナストラックとしてライブ音源を収録。3rdシングルの『チョット』。ライブ音源ならではの臨場感が味わえる半面、ヴォーカルの衰えを無視できないのがツライ。すっかりパワーダウンした声に寂しくなってしまいます。スタジオ音源は今作のDISC 1に収録されていますが、聴き比べてみると違いは瞭然。サビを観客に歌わせるのも、高音部を避けるためのように思えます。間奏の語りはオリジナルより断然カッコイイんですけどね。ライブ音源ならではの良さと悪さが同時に出ているトラックという印象。

13.ら・ら・ら (Live Version) ★★★☆

やっぱりこの曲はライブ向きですねぇ~。楽しそうです。制作意図の通りですね。『チョット』同様、声は気になるところではありますが。でも、こういう観客との「一体感」を持てるヒット曲を出すことが出来たというのは、良かったですよね。それから、彼女、結構ライブパフォーマンスが上手いですね。そして、ロッカーですね。

総合 ★★★★

(記:2008.6.4)


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